なぎさ薬局

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2021年10月18日まだかな、待ち遠しいな

キクヤ調剤薬局春日店です。

ある日、近隣の泌尿器クリニックの処方箋を持参した患者さんが興奮気味に
「先生に初期の癌を見つけてもらってお礼してきた」と話してこられました。

「先生は命の恩人です。すごいな!」と言ったら、
「わしはプロや!」と笑っておられたそうです。

詳しく聞くと前立腺肥大の診察時に下腹部のエコーを撮影したところ尿管に小さな影が見られ、病院で精密検査した結果尿管がんと診断されたとのことでした。尿管がんは腎盂尿管がんに分類されて比較的まれな癌で、膀胱癌の約20分の1の頻度とのこと、男女比は2ないし4:1で50~70歳に好発する癌です。

 

このように癌を早期に発見できればよいのですが、現実にはまだ厳しく、平均寿命を待たずに亡くなる人もおられます。残念なことです。もっと手軽に癌検診できれば癌の早期発見につながるのになと思います。

ところが最近、血液1摘から初期の癌を検出できるというニュースを目にしました。出演者は 落合 孝広 教授(東京医科大学総合研究所分子細胞治療研究部門教授)で、日本細胞外小胞学会会長をされているそうです。

(細胞外小胞…小胞とは…?)
(細胞内にある、膜に包まれた袋状の構造を小胞と呼び、物質を細胞内に貯蔵したり細胞内外へ輸送する等の機能を持っている)
(細胞外小胞はこれまで、細胞のゴミと推定されており研究の対象ではなかったらしい)

 

落合先生の著書を読むと、2007年ごろから生体細胞は細胞間同士で会話をしているメカニズムがあるということがわかってきたのです。細胞から放出される小胞を総称して細胞外小胞と呼び、その一つにエクソソームと呼ばれるものがあります。エクソソームは細胞から分泌される泡のような物質で大きさは直径約100ナノメートル、1ミリメートルの1万分の1ほどの小さな小胞です。最近の研究から生体の様々な細胞がエクソソームにタンパク質やマイクロRNAを積み込み、近隣の細胞だけでなく遠隔の細胞へもエクソソームを介してメッセージを送っています。

それは癌であっても例外なく、自身の生存に有利な分子を周囲の細胞へと渡していることがわかってきました。

DNAを元にRNAを合成することを転写、そのRNAを元にタンパク質を合成することを翻訳と言いますが、その中間体がメッセンジャーRNAとかマイクロRNAと言うわけです。そしてそれぞれの癌細胞にはマイクロRNAに特異性があることもわかってきました。このエクソソームの研究成果は今後の医療に大きなインパクトを与えそうです。

 

現在、血液中に含まれる微量マイクロRNAを測定することで神経膠腫、食道癌、肺癌、胆道癌、胃癌、膵臓癌、大腸癌、膀胱癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、肉腫の計13種類のがんの診断が可能とされているとのことです。近い将来、放射線被ばくすることなく手軽に癌検診ができる日が来るかもしれません。

実現が待ち遠しいですね。

参考書籍:落合孝広 癌は止められる……指令物質をコントロールする医療革命(2020/8/30初版発行)

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